幻の「押井守版・ルパン三世」(押井ルパン資料1)

SIGHT VOL.10 WINTER 2002
「押井守、宮崎駿を語る」より
インタヴュー・撮影=渋谷陽一

幻の『押井版・ルパン三世』

-あのさ、『カリオストロ』の次に押井守がルパンを撮る話ってあったじゃない?
あれはやっぱり宮崎さんの流れで来た話なの?

「そうだよ。宮さんの紹介だった。『あんたルパンやんない?』って(東京)ムービーのプロデューサーから。
宮さんから、あんたがやってとどめ刺してよ』って話だったの。興味あったし、見事にルパンを終わらしてみせようと思ったわけ。
あれもね『うる星』と同じで、当時から終わんない予感がしてたからね。実際今でも終わってないけれど。
だから気持ちがよくわかったの。これ以上見るに耐えないっていうか、死人を踊らせるに等しいのは見るに耐えないってのは」

-ふーん。

「ルパンはもちろん、宮さんだけの作品じゃないけどさ。宮さんには自分のルパンが最高だっていう自負があったんだと思うよ。
僕はそういうことだと思って了解したから。この認識はたぶん100%間違ってない。で、ムービーの杜長に『天才少年がいまして』
って僕の目の前で言ってたよ。当時、もう三十路だったんだけど(笑)」

-(笑)宮崎さん的には少年だったんだ。

「そうそう。で、『あんたの好き放題やんなさいよ。』、『なら好き放題やらしてもらおう』って。
ところがさ、その好き放題が突破できなかったんだよね。会杜の壁っていうのを」

-どういう好き放題やろうとしてたの、押井さん(笑)?

「や、今となっては言ってもしょうがないんだけどさあ…。要はルパンなんかいなかったんだって話。
みんなが寄ってたかってルパンって幻想作ってただけだっていう話になる予定だった。
それにイスラエルとか絡めて、東京で戦争起こすっていう仕掛けだった。
で、ついでにルパンも次元も五エ門も、実はそんな奴いなかったと。『あそこを通る通行人も警官も、
電車で居眠りしてるオヤジも、みんなルパンじゃないか? だってルパンて変装の名人だから』
って感じだった。そしたら全然わけわからんて言われて、あっさり轟沈しちゃったの(笑)」

-ははははは

「宮さんと残念会やりましたよ。寿司食って飲んだくれて。正直言って相当こたえた。
ダメージになった。そのときに、『やっぱりイケイケだけじゃものはできない、
戦略が必要だ』って感じた。人を巻き込むことの必要性とかも。
それから戦略家になった。どうやって自分の企画を通すかに関して、
ものすごく用意周到な人間になった。負ける勝負は絶対しなくなったし」

-ははははは

⇒幻の押井守ルパンは「虚構を盗む」はずだった(押井ルパン資料2)

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